上被うわっぱり)” の例文
と、雨もりのような形が動くと、紺の上被うわっぱりを着たおんなになって、ガチリと釣ランプをひねって離して、かまちから直ぐの階子段はしごだん
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこでは、白い上被うわっぱりを着た保母さんがいて、御飯の世話をやき、少し大きくなったら、御飯のあとでアルミニュームのお皿を洗うことも教えてくれた。
楽しいソヴェトの子供 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「へい、いいえ、お顔は存じておりますほどでもござりませんが、その上被うわっぱりの召ものでござります、お見事な、」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
へそまで出して嬉しそうにその上で足をバタバタやってるちびどもの間を、白い上被うわっぱりきて白いプラトークかぶったニーナとマルーシャが、ただ見るよりずっと悧巧そうな顔つきで、笑ったり
ピムキン、でかした! (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ふかし芋とこの店に並べてあった——村はずれの軒を道へ出て、そそけ髪で、紺の筒袖を上被うわっぱりにした古女房が立って、小さな笊に、真黄色まっきいろな蕈をったのを、こうのぞいている。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)