上背丈うわぜい)” の例文
ニコと、小次郎は笑靨えくぼをこしらえてそれを眺めた。ずんと上背丈うわぜいがあるので、笑靨までが高慢に人を見下げて見えるのだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両羽も上背丈うわぜいも短かかった。
ハイカラ考 (新字新仮名) / 木村荘八(著)
弁当箱も大きいが、男の恰幅かっぷくもすばらしい筋肉で出来上っていた。硬緊かたじまりに肥えて、骨太で、上背丈うわぜいがある。年頃は三十二、三という見当。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武田勝頼かつよりは三十の春を迎えていた。亡父ちちの信玄よりは遥かに上背丈うわぜいもあり、骨ぐみもたくましかった。美丈夫と呼ばれるにふさわしい風貌の持主であった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、犬千代は、例のまなざしで、そしてまた、藤吉郎よりも、ずっとすぐれている上背丈うわぜいから見下して
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すらりと、上背丈うわぜいがあって、面長おもながのほうが、その年上の松虫だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)