上田敏うえだびん)” の例文
初め雑誌の売捌うりさばき方を依頼する思わしい本屋が無くて困っていたのです。上田敏うえだびん先生は日本橋角の大倉はどうだろうと云われたのですが森先生はひどく反対でした。
出版屋惣まくり (新字新仮名) / 永井荷風(著)
当時世界を風靡ふうびしたワグナー主義の運動は、上田敏うえだびん博士(当時学士)などに紹介されて、日本の青年達をも熱狂させ、まだ聴かぬワグナーの音楽にまで夢中になったことは
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
私は今を去る二十八年の昔、金尾文淵堂主の依頼によって、源氏物語を略述りゃくじゅつした。新訳源氏物語がそれである。森林太郎もりりんたろう上田敏うえだびん二博士の序文と、中沢弘光なかざわひろみつ画伯の絵が添っていた。
上田敏うえだびん君の説によると俳味とか滑稽とか云うものは消極的で亡国のいんだそうだが、敏君だけあってうまい事を云ったよ。そんなつまらない物をやって見給え。それこそ上田君から笑われるばかりだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
上田敏うえだびん先生もいつぞや上京された時自分に向って、京都のすまいもいわば旅である。東京の宿も今では旅である。こうして歩いているのは好い心持だといわれた事がある。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
上田敏うえだびん
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)