三品みしな)” の例文
その三品みしなを新聞紙に包んで押収した係官の一行の背後姿うしろすがたを、区長も、青年も土のように血の気をうしなったまま見送っていた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このショールと手提と、それからこの手文庫の中の草履ぞうりだ。これはみんな三千子さんが家出の時、身につけていたといわれている品だが、僕のお雪はこの三品みしな
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
三度三度献立こんだてを持ってあつらえを聞きにくる婆さんに、二品ふたしな三品みしな口に合いそうなものを注文はしても、ぜんの上にそろった皿を眺めると共に、どこからともなく反感が起って
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもその日はなんといっても近ごろ覚えないほどしみじみとした楽しさだった。何事にでも器用な葉子は不足がちな台所道具を巧みに利用して、西洋風な料理と菓子とを三品みしなほど作った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)