三叉路さんさろ)” の例文
そこはもう三叉路さんさろであった。街路とおりから往くと菊江の家は、右のほうになったそのたらたら降りの街路から往くのであった。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私達は暫くその三叉路さんさろのところでぐずぐずしていたが、いつまでもそうしていてもしようがないので、東に向う道を歩いて往って見る事にした。
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「ハンコ屋ですか、もう少しさきの溜池停留所のへんに一軒ありますよ。この次の停留所の三叉路さんさろのところに文光堂とかいふ看板が出てをりますが……」
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
ここの辻は、坂のすそ三叉路さんさろなので、当然、坂上を取っている堀軍は、地形上からも有利であった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その街路とおりは右の方へ半町はんちょうばかり往くと三叉路さんさろになって、左は暗いたらたらおりの街路とおりになり、右は電車の停留場前になって、すこしの間ではあるが人道じんどうと車道の区別をした広い街路とおりには
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
すると、それから数日たった後のこと、清風鎮の街中の三叉路さんさろたたずんで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三叉路さんさろに近くなるに従ってその考えは薄らいで来た。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)