三八さんぱち)” の例文
三八さんぱちといへる百姓は一人ひとりの母につかへて、至孝ならぶものなかりける。或年あるとし霜月しもつき下旬の頃、母たけのこしよくたきよしのぞみける。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まだ自分たちと同じく蠣殻町かきがらちょうの父の家に住居のころ、一六いちろく三八さんぱちか日取りは記憶せぬが月に数回、師をへいして正式に茶の湯の道を学んだのが始めで
茶の本:01 はしがき (新字新仮名) / 岡倉由三郎(著)
三八さんぱちの日にお町と逢引することを知って、その日を選って火をけて歩いたほどの奴だから、付火道具だって、あの納屋に隠すに決っているんだがそこまで気のつかなかったのは凡夫の浅ましささ
かせげばかせぐほど貧しく成り、次第/\に家をとろへ、今は朝夕あさゆふのけぶりさへたえ/″\に成りければ、三八さんぱち女房に云ふやう、(中略)ふたりが中にまうけし娘ことし十五まで育てぬれ共
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)