万能ばんのう)” の例文
旧字:萬能
「ふふん、こんな錠なんか、なんでもないや。ぼくは明智先生の発明された、万能ばんのうかぎを持っているんだからね。」
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
万能ばんのう的なのは一心がかたまらぬせいか、心がこもらないせいか、傑出するには足りなかった。それを見ると、不器用の一心がかえって芸道のことには上達の見込みがあるか。
わたしたちはいっしょうけんめい、止まれ、止まれとびながら、あとから追っかけた。わたしはカピに牛を止めるように声をかけた。だがだれでも万能ばんのうということはできない。
父親が万能ばんのう早解りでありながら、一能に精通せいつうする能力に欠けていたからである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
小林少年は、いつもポケットにいれている万能ばんのうかぎで、ドアをひらいて、井上君といっしょに、部屋を出ました。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
万能ばんのうナイフ、黒いきぬ糸のなわばしご(まるめると、ひとにぎりになってしまいます。)
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ノコギリやヤスリなどのついた万能ばんのうナイフ、虫メガネ、じょうまえやぶりの名人が持っているような万能かぎたば、それから、なんだかわからない銀色の三十センチほどの長さの太いつつなど。
鉄塔の怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)