七戸しちのへ)” の例文
一方の南部系の「菱刺」は、七戸しちのへから八戸はちのへあたりに栄えたもので、これはわずかながらなお続いております。この地方は今も丈夫な麻布を産します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
一時ひとときばかりにして人より宝丹ほうたんもらい受けて心地ようやくたしかになりぬ。おそろしくして駄洒落だじゃれもなく七戸しちのへ腰折こしおれてやどりけるに、行燈あんどうの油は山中なるに魚油にやあらむくさかりける。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
青森県七戸しちのへ辺りではコイを沢山飼っているが、それらのコイが昭和八年三月三日の三陸津浪の前日あばれたと言う。しかし水上に跳ねることはなかった(七戸小学校長北川喜三郎氏報)。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
変態心理の中村古峡こきょう君なども、かつて奥州七戸しちのへ辺の実例について調査をせられたことがあった。神に隠されるような子供には、何かその前から他の児童と、ややちがった気質があるか否か。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
様々な布が交るので、しばしば美しいいろどりを示し、白雪一色の冬の暮しを温めてくれます。陸中ではとりわけこの裂織が盛で、特に七戸しちのへ八戸はちのへ地方に多く見受けます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)