「まあいいや。この頃は暑くなし、寒くなし、月はよし、まだ藪ッ蚊も出ず、張り番も大して苦にゃならねえ。おめえと一蓮托生いちれんたくしょうだ」
半七捕物帳:65 夜叉神堂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かつまた、今日は二人の間に、一蓮托生いちれんたくしょうの約がむすばれためでたい日だ。酒の美味うまからぬわけはない。が道誉、貴公はまずいのか
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おなじ道楽の一蓮托生いちれんたくしょうといったような気持も手伝って、昔の恋仇こいがたきの意地張はどこへやら。心から手を取り合って奇遇を喜び合うのであった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なるほど、君と一蓮托生いちれんたくしょうの約束だったのう。……では、敵も味方も、あの方船に乗って、運命の海を漂流するとしようか」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
「あのときの、われら、何と云いました——一蓮托生いちれんたくしょうと云いました、な」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
一蓮托生いちれんたくしょうと、さあ、みんな乗つたか。」
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)