一船いっせん)” の例文
どこの浦へうちあげられても、一船いっせんの仲間だと知れるように、一本の繩で、いるだけの人数の輪索わさをつくり、みなもろともに死んでこかそ。三郎助も死ね、安兵衛も死ね。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
思い思いにもとどりを切って海に捨て、水死したあとでも、一船いっせんの仲間だとわかるように、一人一人の袖から袖へ細引をとおしてひとつにまとめ、水船みずぶねにしたまま、荒天の海に船を流した。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)