一瀉いっしゃ)” の例文
それを私は今一瀉いっしゃ千里の勢いで署名してしまったのであった。それがこの若い秘書には嬉しかったのであろう。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
坑道内の傾斜を泥の濁流が一瀉いっしゃ千里にながれて行ったことだろう。さらに坑口あなぐちの一台地にいた軍勢も、投石や投木に打ちひしがれ、そこもほとんど全滅的な酸鼻さんびだった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひつじは俄然がぜん虎になった。処女は脱兎だっとになった。いままで湲々えんえんと流れた小河の水が一瀉いっしゃして海にいるやいなや怒濤どとう澎湃ほうはいとして岩をくだき石をひるがえした。光一の舌頭は火のごとく熱した。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一瀉いっしゃ千里もって今日の新日本には到着したり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
と満腔の毒を一瀉いっしゃしてあびせかくる。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)