一攫ひとつかみ)” の例文
退院後一カ月今日こんにちになって、過去を一攫ひとつかみにして、眼の前に並べて見ると、アイロニーの一語はますます鮮やかに頭の中に拈出ねんしゅつされる。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宮なるよ! 姦婦かんぷなるよ! 銅臭の肉蒲団にくぶとんなるよ! とかつは驚き、かつは憤り、はたとめて動かざるまなこには見る見る涙をたたへて、唯一攫ひとつかみにもせまほしく肉のをどるを推怺おしこらへつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)