“ひとはち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一鉢83.3%
一盂16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四月の末には彼女はリリスの花を一鉢ひとはち持って来て置いて行ったこともあった。五月に入っても未だ彼女は通って来ていて、その月の末までは顔を見せた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
が、それは中庭といっても、狭苦しくって、樹木なんぞは一本もうわっていず、ただ空箱の上に一鉢ひとはちの菊が置かれてあるっきりだった。しかもそれすらきたならしく枯れたまんまだった。……
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
宿から萩の餅を一盂ひとはちくれた。今宵は中秋十五夜であつた。北海道の神居古潭で中秋に逢ふも、他日の思出の一であらう。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
夕飯後ゆうめしご、ランプがついて戸がしまると、深い深い地のそこにでも落ちた様で、川音がます/\耳について寂しい。宿からはぎの餅を一盂ひとはちくれた。今宵こよい中秋ちゅうしゅう十五夜であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)