“とげっぽう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
吐月峰50.0%
吐月峯50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
細道の左右に叢々たる竹藪が多くなってやがて、二つの小峯が目近くそびえ出した。天柱山に吐月峰とげっぽうというのだと主人が説明した。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
父は煙草をのんではしきりに吐月峰とげっぽうをたたいた。母も黙ったまま針を取り上げている。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
驚くほど烈しく煙管きせる吐月峰とげっぽうをたたきつけながら、自分のすぐ後ろにある座敷金庫から十円札を二枚取りだし、乞食にでもやるように、それを園の前にほうりだして苦がりきっていた父の顔
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
程なくいかにも東海道らしい松並木へ差しかゝり、丸子まりこ宿しゅくを通り抜けて、僕達は吐月峯とげっぽうに着いた。最初日程を見た時僕は吐月峯とはどこかで見たような名だと思った。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
父親の逸平もまた、これで一段落、とつぶやいてはぽんと煙管きせる吐月峯とげっぽうにはたいていた。けれども逸平の澄んだ頭脳でもってしてさえ思い及ばなかった悲しいことがらが起った。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)