吐月峯とげっぽう)” の例文
程なくいかにも東海道らしい松並木へ差しかゝり、丸子まりこ宿しゅくを通り抜けて、僕達は吐月峯とげっぽうに着いた。最初日程を見た時僕は吐月峯とはどこかで見たような名だと思った。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
父親の逸平もまた、これで一段落、とつぶやいてはぽんと煙管きせる吐月峯とげっぽうにはたいていた。けれども逸平の澄んだ頭脳でもってしてさえ思い及ばなかった悲しいことがらが起った。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)