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白痴
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ばか
ふりがな文庫
“
白痴
(
ばか
)” の例文
旧字:
白癡
その時は早や、夜がものに
譬
(
たと
)
えると谷の底じゃ、
白痴
(
ばか
)
がだらしのない
寐息
(
ねいき
)
も聞えなくなると、たちまち戸の外にものの
気勢
(
けはい
)
がしてきた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先づ第一番に
白痴
(
ばか
)
の猪之助——この男は取つて二十九の良い若い者だが、釘が一本足りないばかりに、まともな仕事が出來ねえ。
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どうしても
普通
(
なみ
)
の人間では無い。
不具
(
かたわ
)
では……
白痴
(
ばか
)
では無論ないけれども確に
普通
(
なみ
)
ではない。あれで人間としての價値があるだらうか。」
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「えい、
白痴
(
ばか
)
めが、とく参って、
鄭重
(
ていちょう
)
に
詫
(
わ
)
び
言
(
ごと
)
致した上、御嶽冠者殿参った時のみ使用致す『
鳳凰
(
ほうおう
)
の間』へ謹しんでお移し申すがよいわ!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白痴
(
ばか
)
でも狂人でもないんじゃから、ほかの兄弟並に扱わにゃならんし、なおさら始末に困るが、どうも不思議な人間じゃ
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
▼ もっと見る
孔生はそれから読書することをやめて
白痴
(
ばか
)
のように坐り、すがって生きて往く物のないようなさまであった。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「それアそうさ。私だってそんな
白痴
(
ばか
)
じゃないよ。」と、お庄は磯野との関係以来、自分がさもだらしのない女のように、
衆
(
みんな
)
に思われているのが切なかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頬被りをしてわざと裏口から清水屋へはいって行った藤吉は、
白痴
(
ばか
)
のようにしょげ返っている伝二郎を風呂場の蔭まで呼び出して、優しくその肩へ手を置いた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかしいくら試みても光った銀貨が落ちないのを知ると
白痴
(
ばか
)
のようににったりと
独笑
(
ひとりわら
)
いを
漏
(
もら
)
していた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
追いまわす。それも
白痴
(
ばか
)
のケティとは、呆れたもんだと思うよ。ケティは……やはり白痴で醜い女さ。ただ、それをみる君たちの目が、妙な工合に違ってきただけなんだ
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
然るに、地上の
白痴
(
ばか
)
は、群集して禮拜する。白痴の信仰は、感動でなくして、恐怖である。
散文詩・詩的散文
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
藍丸王がもし当り前の人間ならば、こんないろいろの疑いを起して青眼にその
仔細
(
わけ
)
を尋ねるであろう。ところが藍丸王は
旧来
(
もと
)
の白髪小僧の通り
白痴
(
ばか
)
で
呑気
(
のんき
)
でだんまりであった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「わしの屋敷で使っていた下男だがのう、猿の
祟
(
たた
)
りで崖から堕ちて
白痴
(
ばか
)
になってしまっただ、かわいそうに良い男だったが、——ずっと前、そうだ、柿の
生
(
な
)
ってる時分だっただ」
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
我々犬の方が遥に人間様の君達よりは優等躰格なんだ。余り
白痴
(
ばか
)
にして貰うまいよ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「うっかりぽんとして
白痴
(
ばか
)
みてえにだらだら歩いてけつかるからだ、でれ助阿女」
錦紗
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
なんだってお前は鳥のまねなんぞした、え、なんだって
石垣
(
いしがき
)
から飛んだの?……だって先生がそう言ったよ、六さんは空を飛ぶつもりで天主台の上から飛んだのだって。いくら
白痴
(
ばか
)
でも、鳥のまねを
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
白痴
(
ばか
)
か、狂氣か、
不具
(
かたは
)
か、唖か、
墮胎藥
(
おろしぐすり
)
を
喫
(
の
)
まされた
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「あの子は
白痴
(
ばか
)
なのかい?」と訊いた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
白痴
(
ばか
)
の
忠太
(
ちゆうた
)
は手をたたく。
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
(すこし
白痴
(
ばか
)
か)
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
親
(
した
)
しげに
身
(
み
)
を
寄
(
よ
)
せて、
顔
(
かほ
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
いて、いそ/\していふと、
白痴
(
ばか
)
はふら/\と
両手
(
りやうて
)
をついて、ぜんまいが
切
(
き
)
れたやうにがつくり一
礼
(
れい
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白痴
(
ばか
)
の猪之助の家は名取屋の店と並んだやうになつて、獨り者の猪之助は、取殘されでもした樣な恰好で、ぼんやり外を眺めて居りました。
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうだ俺は
白痴
(
ばか
)
かもしれない。とにかく城主はこの俺を、
翻弄
(
ほんろう
)
しようとしているのだ」不快に思わざるを得なかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白痴
(
ばか
)
でも
狂人
(
きちがひ
)
でもないんぢやから、外の兄弟並に扱はにやならんし、尚更仕末に困るが、どうも不思議な人間ぢや。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
孫はまだ
故
(
もと
)
の所に
白痴
(
ばか
)
のようになって立っていた。友人達は声を揃えて呼んでみたが、孫は返事もしなければ見向きもしなかった。友人達は皆で往って引っぱった。
阿宝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
白痴
(
ばか
)
か茶番か、女は自分で今買い取った鎧櫃の
覆
(
ふた
)
をあけて、裾を押えてはいり込もうとしている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「泣くな。お前は少しも
白痴
(
ばか
)
ぢやない。ただ運の惡い、不幸な氣の毒の子供なのだ。」
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ナア君、君等の方にも
斯
(
か
)
ういふ
白痴
(
ばか
)
があるか子。
此奴
(
こいつ
)
は小説家でも屑の方だらう子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
けれども
白痴
(
ばか
)
の白髪小僧の藍丸王は、相変らず悠々と落ち付いて、まるで生れながらの王ででもあるように、ニコニコ笑いながら澄まし込んで、大勢の家来に
平常
(
ふだん
)
よりずっと気高く有り難く思わせた。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
と親しげに身を寄せて、顔を差し
覗
(
のぞ
)
いて、いそいそしていうと、
白痴
(
ばか
)
はふらふらと両手をついて、ぜんまいが切れたようにがっくり一礼。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白痴
(
ばか
)
のくせに妹分のお駒に懸想して、
蚯蚓
(
みゝず
)
ののたくつたやうな手紙を書いて、人の惡いお駒に
飜弄
(
ほんろう
)
されて居たことが判つた位のものでした。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後に残った
大物主
(
おおものぬし
)
が、いかに憮然とし呆然としたかは、説明するには及ぶまい。彼は
白痴
(
ばか
)
のように立っていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
長いこと、
白痴
(
ばか
)
のようにぼんやりと、つめたい板の間にすわったきりだった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
俺は
尋常
(
たゞ
)
の
地犬
(
ぢいぬ
)
サ。
雑
(
まじ
)
りツけない純粋の
日本犬
(
につぽんいぬ
)
だ。耳の垂れた尻尾を下げた
瞳
(
め
)
の碧い毛唐の犬がやつて来てから、地犬々々と俺の同類を
白痴
(
ばか
)
にするが、憚りながら神州の
倭魂
(
やまとだましひ
)
を伝へた純粋のお犬様だ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「あすこに
白痴
(
ばか
)
が歩いて行く。」さう言つて人人が舌を出した。
純情小曲集:02 純情小曲集
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
其時
(
そのとき
)
は
早
(
は
)
や、
夜
(
よる
)
がものに
譬
(
たと
)
へると
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
ぢや、
白痴
(
ばか
)
がだらしのない
寝息
(
ねいき
)
も
聞
(
きこ
)
えなくなると、
忽
(
たちま
)
ち
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
にものゝ
気勢
(
けはひ
)
がして
来
(
き
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「旦那、見込違ひで御座いました。新助といふ男は、人を殺せるやうな
性
(
たち
)
の人間では御座いません。あれは商賣外の事は
白痴
(
ばか
)
も同樣の男で御座います」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕は正直に云うけれど、彼女の前で君のことをどんなに
悪様
(
あしざま
)
に
詈
(
ののし
)
ったろう。
彼奴
(
あいつ
)
は
白痴
(
ばか
)
で無節操でロマンチックの
生地
(
いくじ
)
無しだ! このように僕は云ったものだ。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
憚乍ら口惜しけりや腕ツコキで來い、
白痴
(
ばか
)
ツ
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その
頃
(
ころ
)
からいつとなく感得したものとみえて、
仔細
(
しさい
)
あって、あの
白痴
(
ばか
)
に身を任せて山に
籠
(
こも
)
ってからは神変不思議、年を
経
(
ふ
)
るに従うて
神通
(
じんつう
)
自在じゃ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
定吉の性質や、お駒との關係も知つて居るので、お仙は何も彼も讀み盡して、
白痴
(
ばか
)
な子を
處刑
(
おしおき
)
にされるよりはと、女心の淺墓な親子心中をしたのだらう。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
白痴
(
ばか
)
の一念というのでもあろう。思い込まれたお妻という太夫にも、
俺
(
おれ
)
は大いに同情するよ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「皆が私を苛めるの。
白痴
(
ばか
)
だつて言ふの。」
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
婦人
(
をんな
)
は
早
(
は
)
や
衣服
(
きもの
)
を
引
(
ひツ
)
かけて
椽側
(
えんがは
)
へ
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
て、
突然
(
いきなり
)
帯
(
おび
)
を
取
(
と
)
らうとすると、
白痴
(
ばか
)
は
惜
(
を
)
しさうに
押
(
おさ
)
へて
放
(
はな
)
さず、
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げて。
婦人
(
をんな
)
の
胸
(
むね
)
を
圧
(
おさ
)
へやうとした。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
娘の美色は、セレナーデを奏する塀外の
騎士
(
ナイト
)
達ばかりでなく、肉身の親までも
白痴
(
ばか
)
にして居る様子でした。
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
白痴
(
ばか
)
か、子供か、臆病者か、そんなような憐れな声を上げて、こうイエスはお祈りをした。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
娘の美色は、セレナーデを奏する塀外の
騎士
(
ナイト
)
達ばかりでなく、肉親の親までも
白痴
(
ばか
)
にしてゐる樣子でした。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
従七位は、
白痴
(
ばか
)
の毒気を避けるがごとく、
笏
(
しゃく
)
を廻して、二つ三つ
這奴
(
しゃつ
)
の鼻の
尖
(
ささ
)
を払いながら
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「髪がバラバラに乱れている。襟がダブダブにひらけている。裾がめちゃくちゃに崩れている。
白痴
(
ばか
)
か
狂人
(
きちがい
)
のありさまだ! 俺はいったいどうしたのだ! ……今夜は俺には不思議な晩だ!」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それより外に考へやうがないよ。あれは
白痴
(
ばか
)
だが、白痴のくせに、恐ろしく惡賢こいところがある」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“白痴”の意味
《名詞》
白痴(はくち)
重度の精神薄弱。
《固有名詞》
ドストエフスキーの長編小説。
坂口安吾の短編小説。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
痴
常用漢字
中学
部首:⽧
13画
“白痴”で始まる語句
白痴者
白痴殿
白痴美
白痴脅
白痴奴
白痴児
白痴漢
白痴嚇
白痴威
白痴猿