錦紗きんしゃ
村はずれを国道へ曲ったとき、銀色に塗ったバスが後方から疾走して来るのが見えたが、お通はふと気をかえて、それには乗らぬことに決心した。たった十銭の賃銭ではあったが、歩いて行ったとて一時間とはかからぬ町である。四十分や五十分早く着いたにせよ、十 …