親密しんみつ)” の例文
そのわけは、菊亭家きくていけと、武田たけだ祖先そせんとは、縁戚えんせきのあいだがら。のみならず、勝頼の祖父信虎のぶとらとは、ことに親密しんみつであったよしを、耳にいたしました。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分じぶんをばみち疎遠そゑんひとだと諦念あきらめ、べつみち親密しんみつひとがゐるやうにおもつて、それを尊敬そんけいするひとがある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
貴君きくんいま本艦ほんかん水兵すいへい貴君きくん同伴者どうはんしやなる武村兵曹たけむらへいそうとの談話だんわによると、貴君等きくんらは、もつと親密しんみつなる海軍大佐櫻木重雄君かいぐんたいささくらぎしげをくん縁故えんこひとやうおもはれるが、はたして左樣さうですか。
山田やまだます/\親密しんみつになるにけて、遠方ゑんぱうから通ふのは不都合ふつがふであるから、ぼくうち寄宿きしゆくしては奈何どうです、と山田やまだつてくれるから、ねがうても無きさいわひと、すぐきふをつて、郷関きやうくわんを出た
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くみかわして、おれ、おまえで行こうじゃないか。それでいっそう親密しんみつにもなれよう。
かれつねひさしいた丸帽まるばうかぶつて、ふか長靴ながぐつ穿ふゆには毛皮けがは外套ぐわいたうそとあるく。病院びやうゐんてよりもなく、代診だいしんのセルゲイ、セルゲヰチとも、會計くわいけいとも、ぐに親密しんみつになつたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いっそう親密しんみつになりました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれつねひさしいた丸帽まるぼうかぶって、ふか長靴ながぐつ穿ふゆには毛皮けがわ外套がいとうそとあるく。病院びょういんてよりもなく、代診だいしんのセルゲイ、セルゲイチとも、会計かいけいとも、ぐに親密しんみつになったのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もつと段々だん/″\話合はなしあつて見ると、五六さい時分じぶんにはおな長屋ながや一軒いつけんいた隣同士となりどうしで、なんでも一緒いつしよに遊んだ事も有つたらしいので、那様そんな事から一層いつそう親密しんみつつて、帰路かへりみちも同じでありましたから連立つれだつても帰る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こと櫻木大佐さくらぎたいさは、春枝夫人はるえふじん令兄れいけいなる松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさとは、兄弟きやうだいおよばぬ親密しんみつなる間柄あひだがらで、大佐たいさがまだ日本につぽんつたころ始終しじう徃來わうらいして、其頃そのころ乙女おとめであつた春枝孃はるえじやうとは、幾度いくたびかほあはしたこともあるさう