)” の例文
「さうなんでさ、わたしや蜀黍もろこし打棄うつちやときまでつとおもつてたらえねえんでさ、私等家わたしらぢのおとつつあは道具だうぐつちとひどおこんですから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「金持ってけえんべと思っていだども、あんまり安かったで、買って来たはあ。おう! この馬は、こんで、何円ぐらいにえるべ?」
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「岡田も気の毒だ、あんなものを大阪くだりまで引っ張って行くなんて。もう少し待っていればおれが相当なのをつけてやるのにって」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが私のにわか芸で、どうやら今日まで寿命をのばして来ただけがっけものだと諦めてね、早くこの小屋から別れておくれ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鴉のやうな仲間のなかに、白鷺のやうな原敬氏をつけた小林氏は、大威張でかちかち皿を鳴らしてゐたが、暫くすると妙な事に気がついた。
「ほら、あっこにでかい池があんだろ? あれが木場でよ、あの横にあんだが……鉄工場が邪魔になって、よくねえや」
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「こいさんあの洋服着てたら、輝雄ちゃんの姉さんにもえへんぐらいやわ。きっと、不良少女や思われたんやな」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「うんにゃ。税務署にっけらへれば、罰金取らへる。っけらへなぃば、すっこすっこど萄酒どしゅむ。」
葡萄水 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
新聞広告出してたんえへんかったかといい、家に戻ってお君を監視してくれと頼む安二郎を、ざまあ見ろと思ったが、しかし、そんな安二郎を見るにつけ
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
昨日きのう御新造が薬を出したまんま紙入を忘れて行ったのを、今朝っけたから取りに来ないうちにと思って、親方の所へ行ったけえりがけに柳島へ廻って届けに行ったら
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一里のぼるだよ。せば北村と近くなるべ。んでなえと付かつたどき、うるせえべよ。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
目でめえるもののほかにこの目でえねえものはめえねえんだ、ところが、弁信さんときちゃあ、眼がなくっても物がめえるんだから違わあな、それから、おおよその人は
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
黄成鎬 徳淳さん、安さんはまだっかりませんかね。皆さんこうしてお待ちかねだが——。
たしかに金ははあつかつただもの。皆此處にあるだ。それをはあ此の上何が要るだね?』
我が最近の興味 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕、ハッと思った拍子に夢中で外へ飛出とびだしたんですけど四十か五十ぐらい出していたもんですから飛び降りるなりタタキ付けられちゃったんです。相手の車ですか……えるものですか。
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『お前はまたひどくおしんがこと惡く言ふで、肘鐵砲でも喰つたとえら。』
旱天実景 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
ヘルマー よし/\、考へてみよう、そのうち何かつかるさ。
人形の家 (旧字旧仮名) / ヘンリック・イプセン(著)
「金さん、今日はお前さんいいとこへおいでだったよ。実はね、明日あたりお前さんの方へ出向こうかと思ってたのだが……それはそれは申し分のない、金さんのお上さんに誂え向きといういいッかったんだよ」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
「駄目だァ、何にもえねえ」
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
えねえのにさうだに押廻おしまはすなえ」瞽女ごぜあといて座敷ざしきはしまで割込わりこんで近所きんじよぢいさんさんがいつた。わか衆等しゆらたゞ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
こうえたって、と云って、だらりと首を垂れてしまうかと思うと、突然いきなり思い出したように、人間だいと大きな声を出す。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勿論いつの時代でも富豪かねもちの顔と霊魂たましひとは、数あるその持物のなかで、一番汚いにきまつてゐるが、それにつばきを吐きかけたのは流石に皮肉哲学者のつけものである。
「じつはお前の居所を知りとうてな。探してたんや。新聞広告出したんえへんかったんか」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
裸で飛び出さなかったのがっけもので、煙草盆を蹴飛ばさなかったのが勿怪もっけの幸いです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一旦破裂してしもたからにはもうこわいことあれへん。どないなったかて構うもんかと、反動的に一層光子さんが恋しなって、明くる日早速学校い飛んで行きますと、なんでやその日イ姿えしません。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『ああ旦那、金はもうつかりましただあよ。』と彼は言つた。
我が最近の興味 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「おゝ、あゑあゑい、る。」
葡萄水 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「おつかあがえんだかもんねえ、さうらあかるくつた。りやねえかさつてんだ。可怖おつかねえことあるもんか」卯平うへいおも調子てうしでいふのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かるい空を見て、しょぼしょぼした眼を、二三度ぱちつかせたが、箆棒べらぼうめ、こうえたって人間でえと云った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぴんしゃんハネつけられないのがっけものと、お雪ちゃんとしても、多少危惧きぐしてかかったのでしょうけれども、それが存外物やわらかな手ごたえがあったものでしたから、まず安心していると
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
光子さんにその話したら「表具屋いやるぐらいやったら、もう一ぺん画き直してえへん?——あれはあれでよう出来てるけど、——顔はよう似てるけど、——体のつきがちょっとだけ違うよってなあ」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「へえ、まあ、不具者かたわでないのがっけものでございますよ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「こないだは少し曇ってて、上の方がえへなんだ」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「こうえて、わっちも江戸っ子だからね」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)