萬一ひよつと)” の例文
新字:万一
れだがしようさんれがいてもわたし長吉ちようきち草履ざうりげられたとつてはいけないよ、もし萬一ひよつとつかさんがきでもするとわたしかられるから、おやでさへつむりはあげぬものを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此奴こいつうつかり京都きやうとまでつて、萬一ひよつと宿やどがないと困ると思ひまして、京都きやうとの三でう白河橋しらかはばし懇意こんいものがございますから、其人そのひとところへ郵便を出して、わたしまゐるからうかめてくださいとまうしてりますると
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
お恨みなさるゝな此久八めが申すこと今一通り御聞下され此間より度々たび/\に御異見いけん申上たる通りねがふ事では御座りませんが今にも萬一ひよつと大旦那がお目出度めでたくなられたなら其時こそは此大このだいまいの御身上しんしやう悉皆若旦那の物となる假令たとへ然樣さやうに成すともわづかの事には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
美登利につこり笑ひて何負傷けがをするほどでは無い、夫れだが正さん誰れが聞いても私が長吉に草履を投げられたと言つてはいけないよ、もし萬一ひよつとお母さんが聞きでもすると私が叱かられるから
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
誘引さそふ雪風の身に染々と冷るに何此眞夜中まよなかの大雪にばん建部たてべの計りし事ゆゑ首尾能しゆびよく御屋敷おやしきのがれ出給ふ共自然と途中にて凍えは爲給したまはぬかさぞや夜道は御難儀ならんと老の心のやるせなく女房にむかひコレお時やアヽ何も己は御二人樣の事が案事あんじられてならぬ今夜も彼是もう今に寅刻なゝつなれば今迄沙汰のないは萬一ひよつと渠等かれらが仕そんじは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)