かぢ)” の例文
御意ぎよいにござります。みよしえました五位鷺ごゐさぎつばさり、くちばしかぢつかまつりまして、人手ひとでりませずみづうへわたりまする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
事実に於て世界の思潮を見越みこす事に鋭敏ですから、時にはかぢを取る為に馬鹿げた干渉もする様ですが、概して温健な推移ならば寛大に見て居る風がありますので
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大洋にかぢを失ひしふな人が、はるかなる山を望む如きは、相沢が余に示したる前途の方鍼はうしんなり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
丁度そのわきを大きな帆をあげた舟が通つてゐた。かぢのところにゐた船頭もそれを見たらしく、急いで此方こつちへとやつて来た。と、手が浮いた。浅黄がかつた着物と帯とが見えた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
なみ江丸えまるさへ無事ぶじであつたら、わたくしうまかぢをとつて、ぐに日本につぽんまでおくつてあげるのだが、此前このまへ大嵐おほあらしばんに、とうとういそ打上うちあげられて、めちや/\になつて仕舞しまつたから
あれえ? へんだぞ 早くかぢをさがしてくれ
かぢとり、帆あげてくだるせいぬ、あるの。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
れぞ虎髯大尉こぜんたいゐ大勳功だいくんこう! いましも死物狂しにものぐるひに、本艦ほんかん目掛めがけて、突貫とつくわんきた一船いつせん彈藥庫だんやくこ命中めいちうして、船中せんちう船外せんぐわい猛火まうくわ㷔々えん/\かぢ微塵みじんくだけて、ふね獨樂こまごとまわる、海底かいていよりは海底戰鬪艇かいていせんとうてい
とも竿さをおし、かぢとりて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あッ これがかぢらしいよ
なほねため、——かぢの枕か
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かぢおい水手かこ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
水手かこおきなかぢとりて
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)