てき)” の例文
めくらの上にツンてきときたひにゃ、それこそ、でくのぼうよりなッちゃあいねえからな。ええオイ竹童……おッと、こいつはおれがまちがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然うしたら社會の人として、あるひ安楽あんらく生活せいくわつるかも知れない。しかし精神てきには、まつたんで了ツたのもおなじことなんだ!
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
巧に国民の趨向すうかうに投じ、つまびらかに其の傾くところに従ひ、或意味より言はゞ国民の機嫌を取ることを主眼とするてきの思想家より多くを得る能はず。
如何いかんとなれば、人間にんげん全體ぜんたいは、うゑだとか、さむさだとか、凌辱はづかしめだとか、損失そんしつだとか、たいするハムレツトてき恐怖おそれなどの感覺かんかくから成立なりたつてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
名人けつせんの金、花田れうだん對局たいきよく、相踵いで大崎、木見れうだん對局たいきよく觀戰くわんせんして、ぼくせんてき棋戰きせんの如何にくるしく辛きものであるかをつくづくおもひやつた。
ノルムはその語原ごげんを調べると大工だいくの使用する物指ものさしすなわち定規じょうぎである。この定規にかなったものがノルムてきすなわち英語にいうノーマル(normal)である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
けだし今日欧州各国において平民主義の運動なるものは、かの東洋の偽英雄が竜驤虎変りゅうじょうこへん、手を大沢のうちに揮うてその万一を倖僥こうぎょうする大博奕だいばくちてきの閑事業にあらず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
というのは少し行き過ぎかも知れないが、何かのてきで少なくも考えることは出来る。しかし解決はもちろんのこと、考えることすらも出来ないのは、死の問題である。
露伴先生と神仙道 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
駆落かけおちたりと申す今日こんにち国民新聞こくみんしんぶんに見え申候まうしそろ茶漬チヤヅてき筆法ひつぱふ脱化だくわとも申すべくそろ。(十九日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
それはそれとして正岡君のごときは孔子のいわゆる下聞かぶんを恥じず下学かがくして上達すてきの人でごく低い程度から始めて、徐々に高処にじ、ついにその絶頂に達し、ひとみを四顧に放ち
子規と和歌 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「……? はてな? いねえぞ、いねえぞ、三てき! 三的! ずらかッちまったぜ。いい椋鳥むくどりだったにな。おめえがあんまり荒ッぽい真似するんで、きもをつぶして逃げちまったぜ」
横綱だか、取りてきだか知らんが、ともかく、雷はイヤですね、実にいやだ。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
こういうふうに幾千とも幾万ともいえない層があるのでございます。そこで真ん中に中心があります。ここに当たるところの芸術が、ここになるとてきとはいわない、芸術といってよいと思います。
弥八 てきか。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
如何いかんとなれば、人間にんげん全体ぜんたいは、うえだとか、さむさだとか、凌辱はずかしめだとか、損失そんしつだとか、たいするハムレットてき恐怖おそれなどの感覚かんかくから成立なりたっているのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
険を冒し奇を競ふ世のなかには、利益と名誉とををさむるの途甚だ多し、而して尤も利益あり、尤も成功ありと見ゆるものは人を害し人をそこなてきの物品の製造なり。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
豐島さんの至極しごくち着いた瞑そうてきり、里見さんは持てんはたしか四十てんで、まあ十れうつけ出しといつたかくだが、時々じつに鋭い、じつにこまかいたまり方を見せる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その代りに、ちょろちょろと、やって来たのは、どじょう殺し持参のあの三てきでした。
再言すれば敢て国民を率ゐて或処にまで達せんとするてきの預言者は、斯かる時代に希ふ可からず。
でもね、美奈みな子。二千円あつたら、どうにかうちてられるかもれないよ。そしてそんな一つ一つの品ものなんかよりも、かんがへてみりや、そのはうがずつとこんてきことだとおもふ……
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
人間の根本の生命を尋ぬるを責むるなかれ、読者よ、吾人が眼に見うるてきの事業に心を注がずして、人間の根本の生命を暗索するものを重んぜんとするを責むる勿れ、読者よ
内部生命論 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しやく、男しやくろう政客、天文學博士はくし實業じつげう家など、藝苑げいえんでは一時てきに中村時ぞうや千早智さち子などもんでゐたし、シロタやトドロヰッチ夫人のピアノ彈奏だんそうを立ち聽きした事もあるし
政事の論議に従事し、一代の時流を矯正して、民心の帰向を明らかにする思想家、素より偏見僻説へきせつを頑守し、衆を以て天下を脅かすてき所謂いはゆる政事家なるものに比較すべきにあらず。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)