“畫(か)” の例文
新字:画
山は盛り上がつたのかも知れないが、それを圍む線は少くも上から一條に、また一呼吸に畫(か)き下されたのだといふ感じがいつもされた。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
趣(おもむ)きを如何(どう)いふ風(ふう)に畫(か)いたら、自分(じぶん)の心(こゝろ)を夢(ゆめ)のやうに鎖(と)ざして居(ゐ)る謎(なぞ)を解(と)くことが出來(でき)るかと、それのみに心(こゝろ)を奪(と)られて歩(ある)いた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
襤褸(つゞれ)の著物いたく窶れたれどもつぎ/\の色紙なか/\に畫師(ゑし)に畫(か)かるべき打扮に、半ば落葉を盈たしたる籠を負ひ、熊手を持ちて、森の中を歩み行く十四五の少女
花枕 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
出來得るならば、自分の頭丈でも可いから、緑のなかに漂はして安らかに眠りたい位である。いつかの展覽會に青木と云ふ人が海の底に立つてゐる脊(せい)の高い女を畫(か)いた。
知られざる漱石 (旧字旧仮名) / 小宮豊隆(著)
僕(ぼく)は吾助(ごすけ)に畫(ゑ)が描(か)けると言(い)ひしを、姉樣(ねえさま)はかけまじと言(い)ひたり、負(ま)けては口惜(くや)しければ姉樣(ねえさま)が驚(おど)ろくほど上手(じやうず)に、後(のち)と言(い)はずに今(いま)直(すぐ)に畫(か)きて呉(く)れよ、掃除(そうぢ)などは爲(せ)ずとも宜(よ)しとて箒木(はヽき)を奪(うば)へば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『恁麽(こんな)花、いつか姉ちやんも畫(か)いた事あつてよ。』
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
權藏(ごんざう)は其居間(そのゐま)の床(とこ)に大島老先生(おほしまらうせんせい)の肖像(せうざう)をかゝげ、其横(そのよこ)に日(ひ)の出(で)の圖(づ)が下(さが)つて居(ゐ)ます。これは伸一先生(しんいちせんせい)に求(もと)めて畫(か)いて貰(もら)つたのださうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
自分(じぶん)は畫(か)き初(はじ)めたが、畫(か)いて居(ゐ)るうち、彼(かれ)を忌(い)ま/\しいと思(おも)つた心(こゝろ)は全(まつた)く消(き)えてしまひ、却(かへつ)て彼(かれ)が可愛(かあい)くなつて來(き)た。其(その)うちに書(か)き終(をは)つたので
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
自分(じぶん)もチヨークで畫(か)くなど思(おも)ひもつかんことであるから、畫(ゑ)の善惡(よしあし)は兔(と)も角(かく)、先(ま)づ此(この)一事(じ)で自分(じぶん)は驚(おどろ)いてしまつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)