かし)” の例文
◯六節にいう「汝は神をかしこめり、これ汝のよりたのむ所ならずや、汝はその道を全うせり、これ汝の望ならずや」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
みんかしこまって六字の名号みょうごうしたためた。咲子は見ちゃいやよと云いながら袖屏風そでびょうぶをして曲りくねった字を書いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かしこしとも畏こし、帝室の御物ぎょぶつと唐室の御物とを、一つにつなぎ合わせた稀代の逸品という触れこみなのさ。
はい、おけなさいまし。僧「あまり寒いから一ぱいけておれ。亭「エかしこまりました、此方こつちへおけなさいまし。僧「一寸ちよつと小便こようきたいが、何処どこようところはあるまいか。 ...
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これも防人の歌で、助丁すけのよぼろ丈部造人麿はせつかべのみやつこひとまろという者が作った。一首は、天皇の命をかしこみ体して、船を幾たびも磯に触れあぶない思をし、また浪あらく立つ海原をも渡って防人に行く。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
またかしこくもとうとくも仰ぎ望まれたのは、大陸でもそうだったかも知れぬが、海のとなかの島国にあっては、ことに早朝の一刻、あさひとよさかのぼりといわれた日出の前と後とであった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
初めはかしこまつて坐つたが、やがて白い上衣を傍にぬぎすて、あぐらをかき、小さな扇を器用に使ひながら、すこぶる愉快さうに弁じ立てはじめた。少年には難かしくて分らぬ話である。
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
取出しこれは些少させうながら御骨折料ほねをりれうなりと差出しければ庄藏は大いによろこ委細ゐさいかしこまり候とよく未明みめいより大坂中を欠廻かけまはつひに渡邊橋向ふの大和屋やまとや三郎兵衞の控家こそ然るべしとかり入のことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かけまくもかしこけれども、我が皇室の御先祖とす天孫瓊々杵尊ににぎのみことが、この国に降臨し給いし際には、我が群島国は、決して無人の地ではなかった。そこには既に多くの先住民族が棲息していた。
謹厳な硬直した態度で、あの人が下座にかしこまった時には弱ったよ。羅風の紹介文があまり物々しいから僕もたじろいだね。S君はS君で是非コワルスさんに逢ってくれ、三木さんに済まぬという。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
可愛かあゆしといふわが言のかしこけれ桜花さくら見ますかわが良子ひめ
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
世界中が俺の臣下けらいのようにかしこまって並んでいる。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あやかしこき大御神おほみかみ「愛」の御名みなもて告げまつる。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さう出直されて、奥村圭吉は、かしこまつた。
花問答 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
嗚呼わがかしこむたまの、黄金こがねみ空
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かしこまりやした」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
武はかしこまりて
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
かしこし、あなあめ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
鎌倉から帰って、始めてわが家のぜんに向った時、給仕のために黒い丸盆をひざの上に置いて、僕の前にかしこまった作の姿を見た僕は今更いまさらのように彼女と鎌倉にいる姉妹きょうだいとの相違を感じた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仙波氏は「ハア、ハア」と、かしこまつたやうな相槌を打つてゐる。
地獄 (新字旧仮名) / 神西清(著)
激しくうちあふ竹刀しなひ眼には入れこのかしこさに面も小手もわかず
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
あやかしこき大御神おほみかみ「愛」の御名みなもて告げまつる。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
きゝ道理もつともの願なりゆるし遣はすへだたれば遲速ちそくあり親子三人一間ひとまに於て切腹せつぷくすべければ此所へ參れとの御言葉に用人はかしこまり此旨このむね奧方おくがたへ申上げれば奧方には早速さつそく白裝束しろしやうぞくあらためられ此方の一間へ來り給ひなみだこぼさず良人をつとそばざして三人時刻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
激しくうちあふ竹刀しなひ眼には入れこのかしこさに面も小手もわかず
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)