氷山ひょうざん)” の例文
また、あるときは、この氷山ひょうざんが、まるで蒸気機関じょうききかんのついているこおりふねのように、おそろしい速力そくりょくで、まえはしってゆくこともありました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その氷山ひょうざんながれる北のはての海で、小さな船にって、風やこおりつく潮水しおみずや、はげしいさむさとたたかって、たれかが一生けんめいはたらいている。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
人間がタイタニックを造って誇りに乗り出すと、氷山ひょうざんが来て微塵みじんにする。勘作が小麦を蒔いて今年は豊年だと悦んで居ると、ひょうって十分間に打散らす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
きたほううみは、依然いぜんとして銀色ぎんいろこおって、さむかぜいていました。そして、あざらしは、氷山ひょうざんうえに、うずくまっていました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
いえ、氷山ひょうざんにぶっつかって船がしずみましてね、わたしたちはこちらのお父さんがきゅうようで二か月前、一足さきに本国へお帰りになったので、あとからったのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、とおくにゆくまで、そのひかったいただきが、のぞまれたのであります。さびしい、が、くもやぶって、その氷山ひょうざん反射はんしゃしています。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は大学へはいっていて、家庭教師かていきょうしにやとわれていたのです。ところがちょうど十二日目、今日か昨日きのうのあたりです、船が氷山ひょうざんにぶっつかって一ぺんにかたむきもうしずみかけました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もっと、もっと、氷山ひょうざんのおくふかく、安全あんぜん場所ばしょをさがして、はいりこむだろう。いや、それもだめだ、どんなかくれでも、人間にんげんはさぐる。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、もう一氷山ひょうざんうえで、げてゆこうとする動物どうぶついかけていって、それをつかまえて、べてみたいとおもいました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひかったものは、だんだんきしほう近寄ちかよってきました。そして、だんだんはっきりとそれがわかるようになりました。それは、氷山ひょうざんであったのです。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぴきの親の海豹あざらしが、氷山ひょうざんのいただきにうずくまって、ぼんやりとあたりを見まわしていました。その海豹は、やさしい心を持った海豹でありました。
月と海豹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、氷山ひょうざんが、気味悪きみわるひかって、魔物まものきばのようにするどく、ところどころに、灰色はいいろそらをかもうとしていたからです。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
一ぴきのおやのあざらしが、氷山ひょうざんのいただきにうずくまって、ぼんやりとあたりをまわしていました。そのあざらしは、やさしいこころをもったあざらしでありました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
さびしいあざらしは、毎日まいにち毎夜まいよ氷山ひょうざんのいただきに、うずくまって子供こどものことをおもい、かぜのたよりをち、また、つきのことなどをおもっていたのでありました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんは、なんていうけちなやつだ。あのうみはすっかりこおっているじゃないか? また氷山ひょうざんこおりをいくらでもってくればいいじゃないか。それだのに、これんばかりしか、こおりをここへはってこない。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)