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斉
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ひとし
ふりがな文庫
“
斉
(
ひとし
)” の例文
旧字:
齊
彼の
電鈴
(
でんれい
)
を鳴して、火の
傍
(
そば
)
に寄来ると
斉
(
ひとし
)
く、唯継はその手を取りて
小脇
(
こわき
)
に
挾
(
はさ
)
みつ。宮は
懌
(
よろこ
)
べる気色も無くて、彼の為すに任するのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かゝる中へ一人の男
来
(
きた
)
りてお辰様にと手紙を渡すを見ると
斉
(
ひとし
)
くお辰あわただしく其男に
連立
(
つれだち
)
て
一寸
(
ちょっと
)
と
出
(
いで
)
しが其まゝもどらず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
義を慕う者は単に
自己
(
おのれ
)
にのみ之を
獲
(
え
)
んとするのではない、万人の
斉
(
ひとし
)
く之に与からんことを欲するのである、義を慕う者は義の国を望むのである
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この光、ただに身に添うばかりでなく、土に砕け、宙に飛んで、
翠
(
みどり
)
の
蝶
(
ちよう
)
の舞うばかり、目に遮るものは、
臼
(
うす
)
も、
桶
(
おけ
)
も、皆これ
青貝摺
(
あおがいずり
)
の
器
(
うつわ
)
に
斉
(
ひとし
)
い。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
成斎は
卒中
(
そっちゅう
)
で死んだ。正弘の老中たりし時、成斎は
用人格
(
ようにんかく
)
に
擢
(
ぬきん
)
でられ、公用人
服部
(
はっとり
)
九十郎と名を
斉
(
ひとし
)
うしていたが、
二人
(
ににん
)
皆同病によって命を
隕
(
おと
)
した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
其形
(
そのかたち
)
の
斉
(
ひとし
)
からざるは、かの
冷際
(
れいさい
)
に於て雪となる時冷際の
気運
(
きうん
)
ひとしからざるゆゑ、雪の
形
(
かたち
)
気
(
き
)
に
応
(
おう
)
じて
同
(
おな
)
じからざる也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「忽ち又人有り。数十の男婦を駆りて至る。
鞭策
(
べんさく
)
甚だ苦。声を
斉
(
ひとし
)
うして呼号す。」賈は
悸
(
おどろ
)
いて目を醒ました。それからこの夢を人に語つた。けれども誰一人信ずるものはない。
鴉片
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
技
(
ぎ
)
において、ミケルアンゼロに及ばず、
巧
(
たく
)
みなる事ラフハエルに譲る事ありとも、芸術家たるの人格において、古今の大家と
歩武
(
ほぶ
)
を
斉
(
ひとし
)
ゅうして、
毫
(
ごう
)
も
遜
(
ゆず
)
るところを見出し得ない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
和殿が先祖
文石大白君
(
あやしのおおしろぎみ
)
と共に、
斉
(
ひとし
)
く
桃太郎子
(
もものおおいらつこ
)
に従ひて、
淤邇賀島
(
おにがじま
)
に押し渡り、軍功少からざりけるに。
何時
(
いつ
)
のほどよりか
隙
(
ひま
)
を生じて、互に牙を
鳴
(
なら
)
し争ふこと、
実
(
まこと
)
に本意なき事ならずや。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
池塘
(
ちとう
)
草色
斉
(
ひとし
)
。 行々不
レ
逢
レ
仏。 一路失
二
東西
一
。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
胡麻塩羅紗
(
ごましほらしや
)
の地厚なる
二重外套
(
にじゆうまわし
)
を
絡
(
まと
)
へる
魁肥
(
かいひ
)
の老紳士は
悠然
(
ゆうぜん
)
として
入来
(
いりきた
)
りしが、内の
光景
(
ありさま
)
を見ると
斉
(
ひとし
)
く胸悪き色はつとその
面
(
おもて
)
に
出
(
い
)
でぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(この第一回を。)されば、お夏の姿が、邸のもみじに入ると
斉
(
ひとし
)
く、だぶだぶ肥った、赤ら顔の女房が、橋際の
件
(
くだん
)
の茶店の端へ納戸から出て来た。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白居易の亡くなった
宣宗
(
せんそう
)
の
大中
(
たいちゅう
)
元年に、玄機はまだ五歳の女児であったが、ひどく
怜悧
(
れいり
)
で、白居易は
勿論
(
もちろん
)
、それと名を
斉
(
ひとし
)
ゅうしていた
元微之
(
げんびし
)
の詩をも、多く暗記して
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
生憎
(
あいにく
)
其方
(
そなた
)
に
踽
(
よろめ
)
ける
酔客
(
すいかく
)
の
膁
(
よわごし
)
の
辺
(
あたり
)
を
一衝撞
(
ひとあてあ
)
てたりければ、彼は
郤含
(
はずみ
)
を打つて二間も
彼方
(
そなた
)
へ
撥飛
(
はねとば
)
さるると
斉
(
ひとし
)
く、大地に
横面擦
(
よこづらす
)
つて
僵
(
たふ
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
侍女等、女童とともにその前に
行
(
ゆ
)
き、
跪
(
ひざまず
)
きて、手に手に秋草を花籠に挿す。色のその美しき蝶の群、
斉
(
ひとし
)
く飛連れてあたりに舞う。
雷
(
らい
)
やや聞ゆ。雨
来
(
きた
)
る。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ゆるらかに幾尺の水晶の
念珠
(
ねんじゅ
)
を引くときは、ムルデの河もしばし流をとどむべく、
忽
(
たちま
)
ち迫りて
刀槍
(
とうそう
)
斉
(
ひとし
)
く鳴るときは、むかし
行旅
(
こうりょ
)
を
脅
(
おびやか
)
ししこの城の
遠祖
(
とおつおや
)
も
百年
(
ももとせ
)
の夢を破られやせむ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「大変だ、」と
激
(
はげし
)
くいうと、金之助は
寝台
(
ねだい
)
からずるりと落ちたが、
斉
(
ひとし
)
く扉から顔を出して、六ツの目は
向
(
むこう
)
、突当りの廊下へ注いだ、と思うと金之助が身を
挺
(
てい
)
して
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この時廊下に足音がせずに、
障子
(
しょうじ
)
がすうっと
開
(
あ
)
いた。主客は
斉
(
ひとし
)
く
愕
(
おどろ
)
き
眙
(
み
)
た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
腕を
伸
(
のば
)
して、来た方を
指
(
ゆびさ
)
すと共に、
斉
(
ひとし
)
く扇子を膝に
支
(
つ
)
いて
身体
(
からだ
)
ごと向直る……それにさえ一息して
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思わず、ハッと
吐息
(
といき
)
して、羽織の袖を、
斉
(
ひとし
)
く清く土に敷く、お町の
小腕
(
こがいな
)
、むずと取って、引立てて
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今昇った坂
一畝
(
ひとうね
)
り
下
(
さが
)
た処、
後前
(
あとさき
)
草がくれの
径
(
こみち
)
の上に、波に乗ったような趣して、二人並んだ姿が見える——
斉
(
ひとし
)
く雲のたたずまいか、あらず、その雲には、淡いが
彩
(
いろどり
)
があって、髪が黒く、
俤
(
おもかげ
)
が白い。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
書生たちは、ぞろぞろと煙草屋の軒を出て、
斉
(
ひとし
)
く星を仰いだのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一臂
(
いっぴ
)
の力を添えられんことを求めしかば、
件
(
くだん
)
の滑稽翁
兼
(
かね
)
たり
好事家
(
こうずか
)
、手足を舞わして奇絶妙と称し、
両膚
(
りょうはだ
)
脱ぎて向う鉢巻、用意は
好
(
よ
)
きぞやらかせと、
斉
(
ひとし
)
く人形室の前に至れば、美婦人正に刑柱にあり
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫人も
斉
(
ひとし
)
く
頷
(
うなず
)
いたが
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斉
常用漢字
中学
部首:⽂
8画
“斉”を含む語句
一斉
均斉
斉眉
家斉
斉彬
斉泰
斉王
斉明
島津斉彬
新斉諧
斉広
叔斉
斉昭
伯夷叔斉
相斉
徳川家斉
斉藤
斉東野人
斉襄
斉政
...