數多あまた)” の例文
新字:数多
またかういふ種類の數多あまたの病女を取り扱つてゐる、私の知つてる婦人病院の院長が、不景氣知らずの巨利を得てゐることも私は考へた。
素材 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
あいちやんは其處そこ彼等かれらまはるのをて、偶々たま/\自分じぶん以前まへしうに、數多あまた金魚鉢きんぎよばちくりかへしたときざまおもおこしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
數多あまたの人にまさりて、君の御覺おんおぼえ殊にめでたく、一族のほまれを雙の肩にになうて、家には其子を杖なる年老いたる親御おやごもありと聞く。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
檢査處しらべるところ賣歩行うりあるく荷物にもつ一ツもなくして家内にはめくり札さい數多あまたありしなり此返答はどうぢやと問詰とひつめられしに勘太郎一言の返答も出來兼ねたり越前守殿コレ勘太郎汝は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
正面を眺めると參詣の人の俯向く無數のかしらを越え、船のやうな大きな賽錢箱を前にして、遙かに奧深く、數多あまた雪洞ぼんぼりを連ねともした佛壇が、細かにゆらめく鈍い其の光で
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
釧路國釧路郡役所裏の丘上にはコロボックルの住居跡たる竪穴數多あまた存在する事なるが、其並びかたは一列に非すして、恰も道路をはさみて兩側に一二列宛在るが如く成りるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
いまだにむすめこゝろせで、金齒きんばれたる口元くちもとい、い、子細しさいらしく數多あまた奴婢ひとをも使つかへども、旦那だんなさますゝめて十けんだな人形にんぎやうひにくなど、一つまのやうには
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆきなん——荷擔夫にかつぎふ郵便配達いうびんはいたつひとたち、むかし數多あまた旅客りよかくも——これからさしかゝつてえようとする峠路たうげみちで、屡々しば/\いのちおとしたのでありますから、いづれれいまつつたのであらう、と大空おほぞらくも
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
美しい表紙畫の草雙紙が數多あまたそこには並べてある。
數多あまたの若き漁夫ロツキユ着物きものつけぬ女との集まりて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
村人むらびと數多あまたきたれども
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
數多あまたがへり。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
數多あまた賓客まらうど女王樣ぢよわうさまのお留守るすにつけこんで、樹蔭こかげやすんでりました、が、女王樣ぢよわうさまのお姿すがたはいするやいなや、いそいで競技ゲームりかゝりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
設け其上に越前守忠相たゞすけまるに向ふ矢車の定紋をつけつぎ上下にて控へ左右に召捕手の役人數多あまた並び居るにぞ如何なれば大坂御城代ごじやうだいを始京都所司代御老中の役宅にても自分じぶん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小松殿は其功をで給ひ、時頼を瀧口の侍に取立て、數多あまたの侍の中に殊に恩顧を給はりける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
軍兵ぐんぴやう數多あまたもよほされて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
此等これら一人ひとりのこらず數多あまた菱形金剛石ダイアモンド鏤刻ちりばめて、さき兵士へいしおなじやうに二れつになつてあるいてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
喜悦よろこびいさみて下りけり依て瀬川せがはが評判江戸中鳴渡なりわたり諸方よりもらはんと云者數多あまたあれ共當人たうにんは是を承引うけひかず今迄の難澁なんじふとても世に云苦勞性くらうしやうなるべし遁世して父と夫のあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)