小犬こいぬ)” の例文
「いわぬことか、いいものをひろってきた。」といって、洋傘こうもりひらいてさしてあるきますとあたまうえで、クンクン小犬こいぬのなきごえがしました。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其時そのとき小犬こいぬほどな鼠色ねづみいろ小坊主こばうずが、ちよこ/\とやつてて、啊呀あなやおもふと、がけからよこちゆうをひよいと、背後うしろから婦人をんな背中せなかへぴつたり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
脊戸せどした雨傘あまがさに、小犬こいぬがじやれゝつて、じやいろがきら/\するところ陽炎かげろふえるごと長閑のどかおもはれるもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そとのぞくと、うすぐらいプラットフォオムにも、今日けふめづらしく見送みおくりの人影ひとかげさへあとつて、ただをりれられた小犬こいぬが一ぴき時時ときどきかなしさうに、ててゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「こんな寒空さむぞらに、それにものもないのでは、きっとんでしまうだろう。」と、三びきの小犬こいぬのことをおもいながら、みちいそいだのです。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こうしてると、ちいさくないね。ぼく、いつても、小犬こいぬのようながしたが、なかなかりっぱじゃないか。」といいました。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あ、わかった! このあいだのパンも、自分じぶんがたべずに、小犬こいぬのところへっていったのだ。」と、としちゃんはりました。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのあいだを、小犬こいぬたちは、あななかから、くびをのばして、母犬おやいぬが、なにかうまいものをってきてくれるのを、いまかいまかとっていました。
森の中の犬ころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
母犬おやいぬは、だれにも、づかれないに、小犬こいぬたちをつれて、そこからほどへだたった、あるもりなかしてしまいました。
森の中の犬ころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、途中とちゅうで、なにかものおとがすると、それが、小犬こいぬたちのいるもりほうからでなかったかと、どこででも、まってみみをすましたのです。
森の中の犬ころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こんな、まだひとあるきのできぬ小犬こいぬをだれがてたのだろう、なさらずの人間にんげんだ。」と、おもいましたが、自分じぶんは、どうすることもできません。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういったきりで、またみんなのは、小犬こいぬうえまりました。小犬こいぬは、清吉せいきちゆうちゃんのってきたビスケットををふりながらべていました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、どうでしょう、そこには二ひき小犬こいぬがいて、いま母犬ははいぬのもってきてくれた、さかなほねあらそいながら、ちいさなをぴちぴちとふってよろこんでたべているのでした。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三郎さぶろうはどこからか、一ぴきのかわいらしい小犬こいぬをもらってきました。そして、その小犬こいぬをかわいがっていました。かれはそれにボンというをつけて、ボン、ボンとびました。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもにとって、も、くさも、小石こいしも、とりも、小犬こいぬもみんなともだちであったのです。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小犬こいぬは、はらがすいたか、母犬ははいぬのおちちこいしくなったか、クンクンいていました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また小犬こいぬあそんでいると、子供こどもまって、じっとそれをば見守みまもりました。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんなことはあるまい。小犬こいぬではないからな。」と、父親ちちおやはわらいました。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)