“はさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハサ
語句割合
33.8%
33.1%
16.2%
4.4%
2.8%
2.5%
1.6%
1.2%
1.1%
掛稲0.4%
0.4%
0.4%
稲架0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
波佐0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
羽狹0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女どもは、あふれ出ようとする愚痴を、切なく抑えて胸が一ぱいになっていた。子供らは荷物の間にはさまって干菓子などを噛んでいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
こういう谷が松林の多いがけはさんで、古城の附近に幾つとなく有る。それが千曲川ちくまがわの方へ落ちるに随って余程深いものと成っている。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一生に比べて見れば六箇月は僅かなやうなものヽ、その間を私の子の肉体から霊魂までも疑ひをはさまずにおつやさんに預けてきました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
彼はそこになにかはさんであるかと思ったが、終りまで一枚ずつ、紙を左右にひろげながらみていったが、ついになにも出て来なかった。
古今集巻之五 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
如何いかなる罪やあらげなくてらるる扉にたもとはさまれて、もしもしとすくひを呼ぶなど、いまだ都を離れざるにはや旅のあはれを見るべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
など戯れつつ力餅の力をりて上ること一里余杉もみの大木道をはさみ元箱根の一村目の下に見えて秋さびたるけしき仙源に入りたるが如し。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
後園の花二枝三枝はさんで床の眺めにせんと、境内彼方此方逍遥されし朗圓上人、木蘭色もくらんじきの無垢を着て左の手に女郎花桔梗、右の手に朱塗しゆの把りの鋏持たせられしまゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
厄年やくどしの男女が特に警戒する以外に、信州では鬼の目団子だんご、もしくは鬼の眼玉と称して、三つの団子を串に刺し、戸口にはさんでおく風もある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それがどういう目的のために何の情熱からということもなく快闊かいかつそのものが働くことをりて、時間と空間をはさみ刻んで行くとしか思えない。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ひとつひとつ雀掛稲はさそとのこり遠し早や時雨れつつ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
那麽ああいふ男は、今の時世ぢや全く珍しい。』と主筆が鷹揚に嘴をはさんだ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
余は呆気あっけにとられた。八年前秋雨あきさめの寂しい日に来て見た義仲寺は、古風なちまたはさまって、小さな趣あるいおりだった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
稲架はさにかけた稲か、田にひろげ干す稲か、それはわからぬ。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
遠山に包まれた平野のはさの棒に刺さった稲束が、捧げつつをした数十万の勢揃いで、見渡すかぎり溢れた大軍のその中に降り込む驟雨。くっきり完璧の半円を描いた虹に収穫を飾られた大空の美しさ。
少し日の目を見るとはさの稲を一枚ずつ裏返して干している。
それはあの弱々しい美しいお糸が考へさうも無い惡魔あくま的なくはだてですが、平次の推理には素より一點の疑ひをはさみやうもありません。
子路率爾そつじとしてこたえて曰く、千乗の国大国の間にはさまりて加うるに師旅しりょを以てしかさぬるに饑饉ききんを以てせんとき、ゆうこれをおさめば、三年に及ばんころ、勇ありみちを知らしめん。夫子之をわらう。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
鉛筆の中ほどを、小指と薬指との間に挾んで、それを斜めにしたのを、拇指おやゆびと人差指とではさんで書くそうだがね。そういった訳で、夫人の筆蹟はちょっと真似られんそうだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
吉兵衞の話は奧齒に物がはさまります。が、それ以上は訊いても無駄でした。
蝦夷使者鬚の長さ四尺ばかり、箭を首にはさみ、人をして瓠を載せて數十歩に立たしめ、射て中らざるなし。
口一ぱいはさつた蜜柑はどうしても取り出しやうがなかつた。
「ああ郎女いらつめよ。ひどくくと人が聞いてわらいそしる。羽狹はさの山のやまばとのように、こっそりとしのび泣きに泣くがよい」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その中にはさまれた幾条かの鉄ボールトを露わして、さらにそれを焼き切って二、三尺ずつの断片とし、始めてそれを運び出すことが出来るのだ。
震災後記 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
熊野の勝浦などで、以前は猴が磯に群集し蟹を採り食うに石でその殻を打ち破った。しばしば螫ではさまれ叫喚の声耳にかまびすしかったと古老から聞いた。しかるに予幼時すぐ隣りの家にお徳という牝猴あり。