はさ)” の例文
弥兵衛は又、植木鋏を持って、ぱちぱちと、土用茂りの庭木をはさんでいた。その姿も、復讐を一念にしている人とは受けとれなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがどういう目的のために何の情熱からということもなく快闊かいかつそのものが働くことをりて、時間と空間をはさみ刻んで行くとしか思えない。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「右の腕がないようでした、左手は見えましたが、右の袖は前袴にはさんだままでした、たしかに片腕だったと覚えています」
八五郎は時々呼び止められて、猫の子の鈴、はさみの鈴などを賣りましたが、徳藏稻荷で盜まれたやうな、大きな鈴は誰も振り向いてはくれません。
それからびくに入れてある、あのしめじたけが釣った、沙魚はぜをぶちまけて、散々さんざ悪巫山戯わるふざけをした挙句が、橋のつめの浮世床のおじさんにつかまって、額の毛を真四角まっしかくはさまれた
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はしつめ浮世床うきよどこのおぢさんにつかまつて、ひたひ真四角まつしかくはさまれた、それで堪忍かんにんをして追放おつぱなしたんださうなのに、けてると、また平時いつもところ棒杭ぼうぐひにちやんとゆわへてあツた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)