“ながめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナガメ
語句割合
眺望50.0%
23.1%
長雨5.1%
長目3.8%
2.6%
霖雨1.3%
光景1.3%
吟咏1.3%
壮観1.3%
外見1.3%
景観1.3%
景觀1.3%
1.3%
直視1.3%
眺矚1.3%
1.3%
1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼方此方かなたこなたに駈け𢌞つて、たまを投げてゐる學生の姿が、日の輝きと眺望ながめ廣濶ひろさに對して、小さく黒く影の動いて居るやうに見える。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
水の上に映っている沈静したすべての物の影が、波紋と共にゆらゆら動いて、壁紙の絵模様のようになる……。面白いながめである。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼岸ばな今はおどろと巻鬚まきひげしゆもしらけたり長雨ながめふりにし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今まで微白ほのじろいように見えていた花はあざやか真紅しんくの色に染まっていた。彼は驚いて女の顔を見た。女の濃艶のうえん長目ながめな顔が浮きあがったようになっていた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
又山里の梅さへ過ぐるに万歳殿の来ぬ事よと京なつかしきながめや侍らん。翁此返辞に其事とはなくて、去年の水無月みなつき五条あたりを通り候に、あやしの軒に看板を懸けて、はくらんの妙薬ありと記す。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ふる眼の梅雨つゆ霖雨ながめを日ぐらしと子は父を思ふ父は子をけだ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふりこむる梅雨つゆ霖雨ながめの日ぐらしを硯に向ひ書くこともなし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
放し飼いにした伊那駒が、秋天高く馬肥える、今日この頃の野のように、長いたてがみるわせて、さも勇ましく駆けている。秋にふさわしい光景ながめである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
希望のぞみ、あくがれ、吟咏ながめたかわらひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
殿下の行啓と聞いて、四千人余の男女おとこおんなが野辺山が原に集りました。馬も三百頭ではききますまい。それは源が生れて始めての壮観ながめです。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もう四邊あたりは眞暗であった。三日月が空にかかっていた。しかし、その鈍い光りは、時々小枝の隙間をとおして照らされている對象に、異樣な外見ながめを與えるだけであった。
早朝、深く水を湛えた或る巌蔭で、私は、世にも鮮やかな景観ながめを見た。
早朝、深く水を湛へた或る巖蔭で、私は、世にも鮮やかな景觀ながめを見た。
いるれば第一お目の毒なれば戸外おもてへ出て爛漫たる櫻のさかり山水のながめもとより四方よもの人が花に遊行あくがれさけに醉ひ打戲るゝ景状ありさまを御覽にならばお目の藥と再度ふたゝび言はれて氣色けしきばみ忠兵衞夫等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あだしごとはおもふまじるにてもきみさまのおこゝろづかはしとあふればはしなくもをとこはじつと直視ながめゐたりハツと俯向うつむはぢ紅葉もみぢのかげるはしきあき山里やまざとたけがりしてあそびしむかしは蝶々髷てふ/\まげゆめとたちて姿すがたやさしき都風みやこふうたれにおとらんいろなるかはうれひを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのあした横雲白よこぐもしろ明方あけがたの空に半輪の残月を懸けたり。一番列車を取らんと上野に向ふくるまの上なる貫一は、この暁の眺矚ながめうたれて、覚えず悚然しようぜんたる者ありき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
突当りの砲兵工廠ぞうへいの夜の光景は、楽天的にながめると、向島の花盛を幻燈で中空へ顕わしたようで、轟々ごうごうとどろく響が、吾妻橋を渡る車かと聞なさるるが、悲観すると、煙が黄に、炎が黒い。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一年あるとし夏のなかば驟雨後ゆふだちあとの月影さやかにてらして、北向きたむきの庭なる竹藪に名残なごりしづく白玉しらたまのそよ吹く風にこぼるゝ風情ふぜい、またあるまじきながめなりければ、旗野は村に酌を取らして、夜更よふくるを覚えざりき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)