黒馬あを)” の例文
荷馬車はもう準備が出來てゐて、權作は嚊に何やら口小言を言ひながら、脚の太い黒馬あをを曳き出して來て馬車に繋いでゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
カテリーナ! 老総帥が黒馬あをに跨がつてゐる、その手には権標が輝やき、ぐるりには衛兵セルデュークの垣、四方にはザポロージェ人の赤い海が沸き立つてゐる。
黒馬あをにもよく乘つた、玉蟲もよく捕へては針で殺した、蟻の穴を獨樂の心棒でほぢくり囘し、石油をかけ、時には憎いもののやうに毛蟲を踏みにじつた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
荷馬車はもう準備したくが出来てゐて、権作はかかあに何やら口小言を言ひながら、脚の太い黒馬あをを曳き出して来て馬車に繋いでゐた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
黒馬あをの背に跨がつて疾駆したり、自由と信仰のために戦ふすべを、哥薩克らしい酒の呑み方を、遊蕩の味を、教へて呉れませう? 死んでおしまひ、坊や
籠ながら涼し花もつ秋草はその馬柵ませ越しに黒馬あをが食みつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
軈て權作は、ピシャリと黒馬あをの尻を叩いて、『ハイハイ』と言ひながら、自分も場車に飛乘つた。馬は白い息を吐きながら、南を向けて歩き出した。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
青いジュパーンに黄金きんいろの帯をしめたのが眼を射る。旋風のやうに黒馬あをが鬣を振る。
やがて権作は、ピシヤリと黒馬あをの尻を叩いて、『ハイ/\』と言ひながら、自分も馬車に飛乗つた。馬は白い息を吐きながら、南を向けて歩き出した。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ハア、俺ア老人としよりだで可えが、黒馬あをの奴ア怠屈てえくつしねえで喜ぶでヤ。だら、明日あしたア早く來て御座ごぜえ。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ハア、俺ア老人としよりだで可えが、黒馬あをの奴ア怠屈てえくつしねえで喜ぶでヤ。だら、明日あしたア早く来て御座え。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)