麦酒樽ビイルだる)” の例文
それから麦酒樽ビイルだる天水桶てんすいおけの上にし忘れたままの爪革つまかわだった。それから、往来の水たまりだった。それから、——あとは何だったにせよ、どこにも犬の影は見なかった。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
早く早くとわめくを余所よそに、大蹈歩だいとうほ寛々かんかんたる老欧羅巴エウロッパ人は麦酒樽ビイルだるぬすみたるやうに腹突出つきいだして、桃色の服着たる十七八の娘の日本の絵日傘ゑひがさオレンジ色のリボンを飾りたるを小脇こわきにせると推並おしなら
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)