鶴屋南北つるやなんぼく)” の例文
かの鶴屋南北つるやなんぼくの作で、明治以来上場されたことがないという「敵討合法衢かたきうちがっぽうがつじ」を、駒之助の合法、九蔵の前田大学と立場たてば太平次たへいじで見せられた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
やはり鶴屋南北つるやなんぼく以来の焼酎火しょうちゅうびにおいがするようだったら、それは事件そのものに嘘があるせいと云うよりは、むしろ私の申し上げ方が、ポオやホフマンのるいすほど
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かつて明治座の役者たちと共に、電車通の心行寺しんぎょうじ鶴屋南北つるやなんぼくの墓をはらったことや、そこから程遠からぬ油堀の下流に、三角屋敷のあとを尋ね歩いたことも、思えば十余年のむかしとなった。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
絵本を見れば、その終りに狂言作者として、鶴屋南北つるやなんぼくその他の連名が記入されているから、ここに初めて「四谷怪談」はその立作者たてさくしゃたる鶴屋南北の作であることが見出だされるのである。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)