鬢髪びんはつ)” の例文
若草は鬢髪びんはつを逆立て、片膝を立て、怨めしそうに堀切の方を延上のびあがって見詰めた時の凄いこと、実にいきながらの幽霊でございます。
そして、鬢髪びんはつに白いものを数える初老の頃になり尾羽打ち枯らして、二十数年振りで故郷の家へ戻ってきた。老父は、冷たい眼で私を見た。嫁いだ妹は、兄を見損なったとかげでいったそうだ。
盗難 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)