馬頭観音ばとうかんのん)” の例文
旧字:馬頭觀音
土地の人たちが路傍に設けた意匠もまたしおらしい。あるところの石垣いしがきの上は彼らの花壇であり、あるところの崖の下は二十三夜もしくは馬頭観音ばとうかんのんなぞの祭壇である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
土橋どばしから少しはなれて馬頭観音ばとうかんのんが有り無しの陽炎かげろうの中に立っている、里の子のわざくれだろう、蓮華草れんげそう小束こたばがそこにほうり出されている。いいという。なるはど悪くはない。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
馬頭観音ばとうかんのんもしくは庚申塔こうしんとうなどを立てるのと同じく、しかも何の不思議かと問えば、たいていは山の神に不意に行逢うた、怖ろしいので気絶をしたという類で、その姿はまぼろしにもせよ
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
馬頭観音ばとうかんのんやなんかはまだ雪の中にしょんぼりとしている。
雉子日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)