饗庭篁村あえばこうそん)” の例文
ただ落語家の燕枝えんしの弟子であったとか博徒ばくとの子分であったとか饗庭篁村あえばこうそん氏の書生であったとかいう事のみが伝えられていた。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
旅行好きの饗庭篁村あえばこうそん翁も旅先から持ち帰った凡草を、いろいろ並べての御自慢、誰も一向珍しがらぬので躍起となり、「珍草通」の一文を草し
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
俳諧師には其角堂永機、小説家には饗庭篁村あえばこうそん、幸田露伴、好事家こうずかには淡島寒月あわしまかんげつがある。皆一時の名士である。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その前、饗庭篁村あえばこうそん氏がさかんに八文字屋はちもんじやで書かれ、また幸堂得知こうどうとくち氏などが洒落文を書かれたものである。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
一と頃根岸党と歌われた饗庭篁村あえばこうそん一派の連中には硯友社に一倍輪を掛けた昔の戯作者げさくしゃ気質があった。
饗庭篁村あえばこうそん、松居松葉、須藤南翠、村井弦斎、戸川残花、遅塚麗水、福地桜痴等は日露戦争、又は、日清戦争に際して、いわゆる「際物きわもの的」に戦争小説が流行したとき、それぞれ
明治の戦争文学 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
この早稲田本を早大に移る以前に抄録解説したのが饗庭篁村あえばこうそん氏の『馬琴日記抄』であって、天保二年の分を全冊転印されたのが和田万吉氏の『馬琴日記』(原本焼失)である。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)