ひも)” の例文
ひもじい思いをさせられたことが身にしみているので、たとい貧しいものでも、腹一杯食べさせることにしていたからで、出先の料亭りょうていから上の抱えが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私は昨日からのひもじさが、目を覚ますとともに堪えがたく感じてきて、起き上る力もない。そっと仰向きに寝たまま、何を考える精もなく、ただ目ばかりパチクリ動かしていた。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
「何うにかなるよ。お前達にひもじい思いはさせない」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
座敷では意地汚く食べ物に手を出すのが禁物である限り、ひもじいのが当然であり、彼女は日に二度も梅園の暖簾のれんをくぐり、蜜豆みつまめやぜんざい、いそべ焼などをたらふく食べ
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
忘れもしねえ、暑い土用の最中さなかに、ひもじい腹かかえて、神田から鉄砲洲まで急ぎの客人を載せって、やれやれと思って棍棒を卸すてえとぐらぐらと目がまわって其処へ打倒ぶったおれた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それに時間がたつに従ってだんだんひもじくもなって来た。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)