飯蛸いひだこ)” の例文
凭り馴れた肱掛窓に凭つてかけ出しの樣になつてゐる窓下を見るともなく見てゐると、丁度干潟になつた其處に何やらうごめくものがある。よく見ると、飯蛸いひだこだ。
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
外の者の膳には酸味噌の飯蛸いひだこ海鼠なまこなどが付けられてゐて、大きな飯櫃めしびつの飯の山が見る/\崩されてゐた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
不漁つゞきで、海鼠なまこ飯蛸いひだこなどの名産もあまり口に入らないし、落着いて勉強も出來ないし、殊に家族の中に交つてゐると、急に歳を取つたやうな氣持になるのが厭だつた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)