風光明媚ふうこうめいび)” の例文
紀州高野山きしゅうこうやさんの道中で、椎出しいでから神谷かみやの中間に、餓鬼坂がきざかと云うがある、霊山を前に迎えて風光明媚ふうこうめいびところに、こんな忌々いまいましい名の坂のあるのは
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
大村市から一眸いちぼうのうちに見晴らせる、風光明媚ふうこうめいびな湾内に、臼島うすじまという周囲五キロに満たぬ、無人の小島がある。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
風光明媚ふうこうめいびきこえた島原に一夜の宿を求めることも、目的の一つではあったが、島原から行くことが便利であるところの「普賢新焼ふけんしんやけ」の熔岩流を見るためであった。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
なんで有名かといえば、その門作もんづくりがかわっているためでもなく、風光明媚ふうこうめいびなためでもない。ここのいただきの平地に、織田信長おだのぶなが建立こんりゅうした異国風いこくふう南蛮寺なんばんじがあるからである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヤールタ——クリミヤの南岸、黒海に臨む風光明媚ふうこうめいびな保養地。