顱頂骨ろちょうこつ)” の例文
頭部の肉は顱頂骨ろちょうこつが透いて見えるほどひからびていて、ビカビカ光る引釣ひっつりがあって、その上全面に一本の毛髪も残っていなかった。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼は何かまとまった職業に従事すると、三日目から顱頂骨ろちょうこつの辺がずきりずきりと痛み出すので一週間と続かなかった。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「然るにだ……現在、君自身には赤の他人としか思えない呉一郎の頭の痛みが、如何なる精神科学の作用で、君自身の顱頂骨ろちょうこつの上に残っているか……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
尚、屍体が機関車から投げ出された際に出来たらしく、顱頂骨ろちょうこつの後部に近くアングリ口を開いた打撲傷や、その他全身の露出面に亙る夥しい擦過傷等も明かになった。
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
ドウソン氏はこれより先数年前、英国サセックス州のビルトダウンの共有地に近い畑で道路を作るために土を掘った時、人間の顱頂骨ろちょうこつの小さな片を発見したことがある。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)