願文ぐわんもん)” の例文
「御用人樣、——若殿お命を速かに縮め給へ、穴賢あなかしこ——と紅筆で願文ぐわんもんを書くやうな人間は、御屋敷に心當りはありませんか」
所詮しよせん此の経を一〇一魔道に回向ゑかうして、恨をはるかさんと、一すぢにおもひ定めて、ゆびやぶり血をもて願文ぐわんもんをうつし、経とともに一〇二志戸しとの海にしづめてし後は、人にもまみえず深くぢこもりて
捧げたる願文ぐわんもんにこそ。光り匂ふのりのため
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)