青葡萄あおぶどう)” の例文
即ちゲーテが作『若きウェルテルのうれい』、シャトオブリヤンが作『ルネエ』のたぐいなり。わが国にては紅葉山人こうようさんじんが『青葡萄あおぶどう』なぞをやその権輿けんよとすべきか。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
見廻した眼は、最後に小野さんに至って、ぐさりと刺さった。小夜子は背広せびろの肩にかくれた。宗近君はぬっと立った。呑み掛けの煙草を、青葡萄あおぶどうの灰皿にほうり込む。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
青葡萄あおぶどう』という作に、自分はむちなわとで弟子を薫陶するというような事をいってるが、門下の中には往来で摺違すれちがった時、ツイ迂闊うかつして挨拶あいさつしなかったというので群集の中で呼留められて