障礙物しょうがいぶつ)” の例文
けいという字は、あみのことです。魚をとる網です。という字は、障礙物しょうがいぶつなどという、あのがいという字で、さわり、ひっかかりという意味です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
白絣しろがすりの着物が、汗の為に、水にでも漬けた様にビッショリ濡れていた。足は棒の様に無感覚になって、一寸した障礙物しょうがいぶつにでも、つまずいては倒れた。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
障礙物しょうがいぶつは巡査派出所だが、これはどちらにも一箇所ずつある。そこで利害を比較すれば、只にぎやかな切通しを避けて、寂しい無縁坂を取ると云うことに帰着する。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
思慮のある男には疑懼ぎくいだかしむる程の障礙物しょうがいぶつが前途によこたわっていても、女はそれをもののくずともしない。それでどうかすると男のあえてせぬ事を敢てして、おもいの外に成功することもある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)