阿国おくに)” の例文
そうだ、それから考えてみると、出雲の阿国おくにがしゃなりしゃなりと静かに乗込んで、戦国大名によだれを流させたのはこのところだ。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
出雲の阿国おくによりも、高級な女性として敬愛を持っていたし、大坂城の淀君よりも、才色があって親しみもあるという点で、ずっと有名だった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿国おくに歌舞伎でおぼえた小歌を口誦くちずさみながら、朱実あけみは、家の裏へ下りて、高瀬川の水へ、洗濯物あらいものの布を投げていた。布を手繰たぐると、落花はなの渦も一緒に寄って来た。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……お母さん、あれ、阿国おくに歌舞伎の囃子はやしでしょう。……鐘の音が聞えてくる、笛の音も」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紅絹もみや、西陣や、桃山染や、お甲のにおいが陽炎かげろうのように立つ。——今頃は河原の阿国おくに踊りの小屋で、藤次と並んで見ているだろうと、又八はその姿態しなや肌の白さを眼にえがく。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)