長煙管ながギセル)” の例文
長煙管ながギセル灰吹はいふきの筒を叩く音、団扇うちわで蚊を追う響、木の橋をわたる下駄の音、これらの物音はわれわれが子供の時日々耳にきき馴れたもので、そして今は永遠に返り来ることなく
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
カチリと電燈をじる響と共に、きいろい光が唐紙からかみの隙間にさす。先生はのそのそ置炬燵から次の間へ這出はいだして有合ありあ長煙管ながギセルで二、三ぷく煙草を吸いつつ、余念もなくお妾の化粧する様子を眺めた。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
煙草すぱすぱ長煙管ながギセル立膝たてひざ無作法ぶさほうさもとがめる人のなきこそよけれ。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)