銓衡せんこう)” の例文
後任市長が無いというので、方々ほうぼうの人格者や名望家なぞに市会の銓衡せんこう委員が押しかけてまわったが、みんなていよく断られた。
出願者の数はこれまでの記録をやぶって、ほとんど定員の二倍になっていた。それだけにその銓衡せんこうは困難だった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
化学のことに就いては、それに興味のある者が、中村の外に見当らぬ故、追って銓衡せんこうするとしよう
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「家庭の事情では困る。盲腸は切ってしまえば、綺麗さっぱりで、後に残らない。私も及ぶ限り御便宜を計る積りだが、こういうことは人事課長の領分だから、その積りで銓衡せんこうを受け給え」
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
当大学第一回の卒業論文銓衡せんこうの神聖をけがす者は、この正木という青二才にほかならない。こんな学生は将来の見せしめのために放校してやるがいい
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「不二商事というんです。余り大きくないところの方が仕事を覚えるのには却って都合が好いんですよ。しかし二流会社では屈指だと言っていました。銓衡せんこうがナカ/\やかましいそうです」
恩師 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
当大学第一回の卒業論文の銓衡せんこうに一大センセーションを捲き起したのは実に、この一篇に外ならないので御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「人物本位だ。会社の銓衡せんこうのように成績を問題にしない」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
止むを得ず、他の論文の銓衡せんこうを全部、翌日に廻わして、ラムプをけて議論を続行しました結果、やっと午後九時に到って一同が完全に沈黙させられてしまいました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「はゝあ。あの人なら、銓衡せんこうの時にお目にかゝりました」
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)