銀細工ぎんざいく)” の例文
またもう一人は、蘇州そしゅうの産で、銀細工ぎんざいく屋の若旦那くずれの、色が生白くて背のひょろ長い鄭天寿ていてんじゅ、またの異名を白面郎はくめんろうともいう男もいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士の白妙しろたえ銀細工ぎんざいくのものなら、とッくに見るかげもなく、くすぶッてしまったところだ。見よ、さしも人穴ひとあな殿堂でんどうすべて灰燼かいじんし、まるでおに黒焼くろやき巌々がんがんたる岩ばかりがまっ黒にのこっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)