針差はりさし)” の例文
裁縫しごとの手をめて、火熨に逡巡ためらっていた糸子は、入子菱いりこびしかがった指抜をいて、鵇色ときいろしろかねの雨を刺す針差はりさしを裏に、如鱗木じょりんもくの塗美くしきふたをはたと落した。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きょうも裁板たちいた針差はりさしとを前にして、ひる過ぎからせッせと縫い物に他念がありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)