金環かなわ)” の例文
世間の噂では、「ロボのくび金環かなわがついている。」とか、また、「かれのかたには悪魔あくま仲間なかまである印としてさかさ十字の斑点はんてんがある。」
オルガは甲谷の傍へ寄って来ると、支那婦人の用いる金環かなわたくを手首にめて涼しげに鳴らした。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その片脚を古い鎖で繋がれた金環かなわのもうすつかり錆びた円周を終日噛りながら、時としてふと、何か気紛れな遠い方角に空虚なものを感じたやうに、いつもきまつて同じ一つの言葉を叫ぶ。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)